2002年5月のつぶやき



その4

あとでもっと詳しく聞いたところでは
夕飯の席で、ずっと私のお話相手をしてくださった
隣の席のおじさんは、音楽学者兼国営放送の解説者という、
かなりお偉い方だった。

そうとは知らず、随分いい加減な言葉で
いろいろ話してしまったな。

私が他のジャンルとクラシックの狭間から
面白いものを見つけてやっているのだ、現代音楽もタンゴも
その中の要素だ、とか話すと
タンゴは止まっているじゃないか、
あまり面白くないだろう、発展しないだろう、
それより日本の音楽をやりなさい、日本人の作品は面白いものが
いろいろあるじゃないか、、、、
と何度も説得された(^^;;。

でも私のこの片言のイタリア語と英語のちゃんぽんでは
反論できないので、
かなりとんちんかんな答えをした気がする。


モンツアの部屋に戻ってメールをチェックしたら
「OKSQのライブ行ってきましたよ、よかったですよ」
といういう内容が何通か届いていた。
よかったよかった。大成功ね。


そうそう、ピアソラ没後10年ということで
ちょうど日本にはイタリアからミルバが公演に行っている。
ちょうどOKのライブの日も
ミルバの東京公演があって、
ミルバとOKのライブをはしごなさった方も
いらっしゃったそうだ。

そのミルバと共に日本へ行っているイタリア人のチェリストは、
現代音楽をお得意とされている
素晴らしい指揮者で私も以前紹介していただいた事のある
エミリオ・ポマリコ氏の妹さんなのだった。

そのあたりの人たちも皆、あの私の隣に座っていた
音楽学者のおじさんなどとは
もちろんお仲間のようだ。

あのおじさん、彼女たちにも
「君らはなんでクラシックの演奏家なのに
タンゴとかピアソラとかやるのだね。
もっと面白い現代音楽があるだろうに、、」
とか言うのかしらねぇ(^^;;(^^;;。



その3

音楽仲間が集まっているから、と誘われて、
出かけることになった。
ワインを詰めに行くから汚れてもいい格好で来るように、とのこと。

作曲家のマンカ氏の運転する車で約1時間。
丘の上の随分アンティークな博物館のような家に到着。
広いお庭にはもう何人か集まっていてわいわいやっていた。
初めまして、アキです、、とご挨拶。
農場かどこかのおじさんにしか見えないあの人や
気のいいお兄さんふうなあの人も
どうやら偉い音楽評論家なのだそうで、そう紹介されても
このシチュエーションじゃあねぇ・・・って感じだった。

ワインを詰める、、とはまさにその言葉どおりで
自家製ワインを、大きな樽から瓶に移す作業を手伝った。
ちゃんとしたコルクを本格的には閉められないから、
瓶の口のところに1センチ弱、ワセリンを入れて
その上からコルクを手で閉める。
開ける時は綿か何かでそのワセリンを吸い上げてから
飲むらしい。

喋りながら瓶を並べているうちに日が落ちた。
作業の後は皆で夕飯を食べに出かけた。
お偉い評論家氏は私にせっせと話し掛けて下さって
優しかったが、
タンゴなんて日本人なのにどうして弾いてるんだ?
私は琴が好きなのだ、、君は弾けるかい?
それで君のレパートリーは?
ああ、ブーレーズやリゲティなんかじゃなくて
日本の新しい現代音楽はどうなんだい、
日本の伝統楽器と西洋の楽器の組み合わせで
成功している作品はどんなだ?とか、、
giappone giappone、、を繰り返してばかりだった。



その2

必死にイタリア語を喋っている夢を見た。
日本語が全く聞こえないという夢だった。

こんな夢をみてしまうほど、
毎日毎日イタリア人とイタリア語に囲まれているって事だ。
ああ、当たり前か、イタリアなんだから。



その1

GW中に東京でのリハーサルや、様々な個人的用件をだだだーーっと片付けて、
真ピンクのスーツケースに楽譜を詰め込んで成田へ。

ミラノ到着後、近郊のモンツアのマンションにほんの一晩寄っただけで
翌朝には列車に乗り込み南へ6時間。
成田も曇り、ミラノも曇り、ちょっと肌寒い気候だったけれど、
南へ降りるに従ってだんだん晴れ間が見えて明るくなってきた。
日に光るアドリア海が見え始めると、なんとなく気分も大らかになってしまう。

昨年秋に私の勤務先にメッツエーナ先生をお招きして以来
先生にお目にかかるのはお久しぶり。
ちょっとした個人的な御報告なども兼ねて、
ペスカーラのアカデミアを訪れ、レッスンを受けた。
ちょうど今月末に、私も子供達の公開レッスンとデモンストレーション
の演奏をしないといけないので、それらのなかから幾つかの
曲も聴いていただいた。
今の時期こちらに来れたのは、
私も心と音楽の充電になってとってもよかった。
先生も益々御元気で、なにしろ日本での思い出が
非常に印象がよかったようで、あそこがよかっただの
君の生徒のあの子はなかなかよかっただの、
そんな話しばかりしていた。
へえ、、、、日本は初めて訪れるとそんなに印象がいいのか、、、
不思議だな。

今回はこれからいろいろな人に会うことになっているので
なんとかこの片言のイタリア語を広げなくっちゃ。